【その11】soe
東京の中目黒にsoe(ソーイ)
という洋服屋さんがある。
(現在は店舗の名前はMIUとして、本や雑貨なんかもセレクトしている。)
「その洋服どこで買ったの?」
と聞いてくる友人達に答えた返答で最も多いものが
「soeだよ」
である。
個人的エポックとなっている洋服屋さん。
大学時代はじめて中目黒のお店に足を踏み入れた時のことを今でも覚えているし、店先のショーウィンドウに飾られていた背もたれの長い椅子も覚えている。
店内に貼られたオフホワイトのラグの色だって覚えているし、
店内につられたハンガーラックのひかり方も。
お店の存在からプロダクトまで
全てがインスパイアリングなブランドだった。
それまでの僕の洋服選びは、
1日かけて原宿、渋谷、代官山、中目黒のお店を見まくって、ピンときたものを取り置きし、最終的に買うものだけを取りに戻るというストロングスタイルだった。(友人には「じゅんと買い物行くとめっちゃ歩かされるから一緒に行きたくない。」と言われていた)
ちなみに、今思うにその大量の空振りは大いに役に立っていると思う。
soeに出会ってからは
直接soeに行くようになった。
1日街を歩き回る代わりにsoeで2時間ほど過ごした。
ひとつひとつの商品の説明を細かく聞き(繊維や背景、作り手の話など)、シーズンごとのテーマや素材選びについて根掘り葉掘り聞いた。
聞けば聞くほどにおもしろかった。
そういった経緯もあり、僕は今でも服を買いに行くときは
とりあえずsoeに行くというスタイルになっている。
別にあの頃ほど洋服にドハマリしていない今だってsoeの今シーズンのビジュアルが公開されたら無意識的にチェックしている。
soeにはsoeシャツというラインがあって、毎シーズン、シャツを数種類展開する。
シルエットが本当に綺麗。
そうそう。
soeといえば
いつだったかお正月のセールに行ったときに
シャンパンを振る舞ってくれたことがあった。
すごーく綺麗で美しいものを作っているのに
そういうアットホームなムードを出しているというのも
ぼくの美観に影響を与えたと思う。
かっこいいと気取らないは
同居すると
好きになる。